晴れ、ときどき海と山

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ほんの小さな世界をおすそ分け

雪の越前大野

北陸地方は強い寒気に覆われ、各地で大雪となっています。

そんなニュースをラジオで聞いたのは金曜日の夜のことだった。

雪景色を見に行きたい。子供みたいに思いつくと同時に、以前からずっと歩いてみたかった城下町が福井にあることを思い出した。

越前大野にお出かけした、とある一日のお話。

越前大野まで

土曜日の早朝、京都駅から琵琶湖の西を通って北へ向かう電車に乗り込んだ。

近江塩津を過ぎたあたりから車窓は真っ白になった。滋賀の北部はもう北陸だということを雪景色が教えてくれる。

この時点で電車は15分遅れていた。

その影響で乗り換えがうまく噛み合わず、福井駅には予定の40分遅れで到着した。


福井から越前大野まではJR九頭竜線を利用するつもりでいたけれど、12時50分まで次の便はないようだった。

早くも旅程が崩れてしまう。

そこで、交通手段をバスに変更した。ちょうど10時05分発の路線バスがあったので、気持ちを入れ替えるように飛び乗った。



大野市

バスを降りると、思わず息を呑んだ。

きれいな街だ。木造家屋のずっしりとした表構えが、ふわふわと盛られた真っ白な雪を纏っておめかししている。

すぅーっと息を吸いこんだら、鼻の奥がつんとして、そのすぐあとを冬の匂いが追いかけてきた。

まずは武家屋敷 旧内山家を訪ねてみた。

格子窓から外を眺めてみたり。

灯りの透けた可愛い襖があったり。

屋根裏部屋を歩いてみたり。



続いて、旧田村家に寄ってみた。

Googleマップの口コミを見ると、風車の飾り付けが有名な建物のようだった。

それを目当てに来たと思われたのか、管理人の方が出てきてくれて「冬の間は出してないけど、それでもいい?」と訊いてくれた。

「もちろんです」

そう答えると、管理人は戸を引いて

「寒いから早く中へどうぞ」と迎え入れてくれた。

畳と襖がつくる空間は、もともと大部屋だった場所に後から仕切りを付け加えたようにも見えるし、最初から個室を前提とした間取りのようにも見える。

曖昧な部分を曖昧なまま残すと同時に、そうして生まれた余白にたっぷりの意味と余韻を込める日本家屋のあり方が、どうしようもなく好きだ。

 

外に出ると、雪は強くなっていた。

雪の白は漂白剤の白ではなく、喧騒の裏側に隠れた街本来の自然色を際立たせてくれる白だと思う。

お昼ごはんは洋食屋「macherie」の日替わりランチにした。

お腹を満たしたあとも、しばらく街を散策する。

15:00ごろ、街をぐるりと一周して越前大野駅に帰ってきた。

行ってみたいお店や気になる場所は、あえてたくさん残しておいた。

次は初夏の越前大野を歩いてみたい。