雨の音で目を覚ます。
体を起こし、人差し指でカーテンを流すと、外はまだ暗かった。
信号と街灯の光だけが夜明け前の世界を切り取るように丸く広がっている。
照らされた範囲だけに雨粒の筋が走っていた。
こういうときだけ天気予報はよく当たる。
二度寝、というかふて寝に近いが、とにかくもう一度横になろうかと考える。
だけど、普段から二度寝の習慣がないので、一度覚めた意識を再び夢の世界へ戻すのは難しい。
枕元に置いた文庫本に手を伸ばし、昨日のまま途切れた物語を目で追った。
雨にも負けず、風にも負けず
今日は宇和島までの130kmを走る予定。
去年の夏に購入したmont-bellのストームクルーザーを羽織り、いざ出発!
冬の自転車旅では、体を冷やさないためにも、とにかく汗をかかないように走る必要がある。
そういう意味で、GORE-TEXの安心感はすごい。
撥水力はもとより、それなりの強度でペダルを回しても中が全然蒸れない。
体からの放熱量と外からの冷却量が常に釣り合う感覚。
快適な雨ライドを経て、かの有名な下灘駅に到着。
なんですか、これ。
某吹奏楽アニメの顧問の口癖を思い出す。
案の定と言うべきか、駅を訪れているのは私ひとり。
雨のせいで空も海も平べったい。
冷たい雫が頬に打ちつけ、浮かぶ言葉はただひとつ。
何やってるんだろ。
「らぶらぶベンチ」を横目に流して、その場を後にする。
座ってみてもよかったなあ。
ちょっとだけ心残り。
雨上がりの宇和島市街
宇和島市に到着すると、ようやく雨が上がった。
洗い立ての空気は、ずっと吸い込んでいたいような匂いがする。
見上げた空はまだ薄曇りだけど、その上空に広がる青い世界がどんなに澄んでいるのか、雲の光り方がこっそり耳打ちしてくれる。
自転車を置き、今日もお散歩開始。
待ちに待った夜ごはんは「すしえもん 宇和島本店」と決めていた。
ここのお寿司はとにかくネタが新鮮で、2年前に初めて食べた時には魚の甘みに驚いた。
集中して食べていたからか、写真を撮ろうという考えすら浮かばなかった。
機会があったら、行ってみてください。
旅は3日目に続く。